1.利用目的の特定等(法第15条、第16条)

(利用目的の特定)

法第十五条

  個人情報取扱事業者は、
  個人情報を取り扱うに当たっては、
  その利用の目的(以下「利用目的」という。)を
  できる限り特定しなければならない。

2 個人情報取扱事業者は、
  利用目的を変更する場合には、
  変更前の利用目的と相当の関連性を有すると
  合理的に認められる範囲
  を超えて行ってはならない

▲Top

(利用目的による制限)

法第十六条

  個人情報取扱事業者は、
  あらかじめ本人の同意を得ないで
  前条の規定により特定された利用目的
  の達成に必要な範囲を超えて、
  個人情報を取り扱ってはならない

2 個人情報取扱事業者は、
  合併その他の事由により
  他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って
  個人情報を取得した場合は、
  あらかじめ本人の同意を得ないで、
  承継前における当該個人情報の利用目的
  の達成に必要な範囲
  を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。

3 前二項の規定は、
  次に掲げる場合については、適用しない

 一 法令に基づく場合

 二 人の生命、身体又は財産の保護のために
    必要がある場合であって、
    本人の同意を得ることが困難であるとき。

 三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために
    特に必要がある場合であって、
    本人の同意を得ることが困難であるとき。

 四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が
    法令の定める事務を遂行することに対して
    協力する必要がある場合であって、
    本人の同意を得ることにより
    当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

▲Top

(1)利用目的の特定及び制限

 医療・介護関係事業者が
 医療・介護サービスを希望する患者・利用者から
 個人情報を取得する場合、

 当該個人情報を患者・利用者に対する
 医療・介護サービスの提供
 医療・介護保険事務
 入退院等の病棟管理などで
 利用することは患者・利用者にとって明らかと考えられる。

 これら以外で個人情報を利用する場合は、
 患者・利用者にとって必ずしも明らかな利用目的とはいえない。

 この場合は、
 個人情報を取得するに当たって
 明確に当該利用目的の公表等の措置が
 講じられなければならない。(V2.参照)

 医療・介護関係事業者の通常の業務で想定される利用目的
 は別表2に例示されるものであり、
 医療・介護関係事業者は、
 これらを参考として、
 自らの業務に照らして通常必要とされるもの特定して
 公表(院内掲示等)
しなければならない。(V2.参照)

 また、
 別表2に掲げる利用目的の範囲については、
 法第15条第2項に定める利用目的の変更を行うことができる
 と考えられる。

 ただし、
 変更された利用目的については、
 本人へ通知又は公表しなければならない。(V2.参照)

▲Top

(2)利用目的による制限の例外

 医療・介護関係事業者は、
 あらかじめ本人の同意を得ないで
 法第15条の規定により特定された利用目的
 の達成に必要な範囲を超えて
 個人情報を取り扱ってはならないが(法第16条第1項)、
 同条第3項に掲げる場合については、
 本人の同意を得る必要はない
 具体的な例としては以下のとおりである。

▲Top

@ 法令に基づく場合

 医療法に基づく立入検査、
 介護保険法に基づく不正受給者に係る市町村への通知、
 児童虐待の防止等に関する法律に基づく児童虐待に係る通告等、
 法令に基づいて個人情報を利用する場合であり、
 医療・介護関係事業者の通常の業務で想定される
 主な事例は別表3のとおりである。

 根拠となる法令の規定としては、
 一般に刑事訴訟法第218条(令状による捜査)、
 地方税法第72条の63
  (個人の事業税に係る質問検査権、各種税法に類似の規定あり)
 等が考えられる。

 これらの法令は強制力を伴って回答が義務づけられるため、
 医療・介護関係事業者は捜査等が行われた場合、
 回答する義務が生じる。

 また、
 刑事訴訟法第197条第2項(捜査に必要な取調べ)等については、
 法の例外規定の対象であるが、
 当該法令において任意協力とされており、
 医療・介護関係事業者は取調べ等が行われた場合、
 回答するか否かについて
 個別の事例ごとに判断
する必要がある。

 この場合、
 本人の同意を得ずに個人情報の提供を行ったとしても、
 法第16条違反とはならないが、
 場合によっては、
 当該本人からの
 民法に基づく損害賠償請求等
 を求められるおそれ
がある。

▲Top

A 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合
  であって、本人の同意を得ることが困難であるとき

 (例)

 ・ 意識不明で身元不明の患者について、関係機関へ照会する場合

 ・ 意識不明の患者の病状や重度の痴呆性の高齢者の状況を
  家族等に説明する場合

▲Top

B 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために
  特に必要がある場合であって、
  本人の同意を得ることが困難であるとき

 (例)

 ・ 健康増進法に基づく地域がん登録事業による
  国又は地方公共団体への情報提供

 ・ がん検診の精度管理のための
  地方公共団体又は地方公共団体から委託を受けた検診機関
  に対する精密検査結果の情報提供

 ・ 児童虐待事例についての関係機関との情報交換

 ・ 医療安全の向上のため、
  院内で発生した医療事故等に関する
  国、地方公共団体又は第三者機関等への情報提供
  のうち、氏名等の情報が含まれる場合

▲Top

C 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が
  法令の定める事務を遂行することに対して
  協力する必要がある場合であって、
  本人の同意を得ることにより
  当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき

 (例)

 ・ 国等が実施する、
  統計報告調整法の規定に基づく統計報告の徴集
    (いわゆる承認統計調査)及び
  統計法第8条の規定に基づく指定統計以外の統計調査
    (いわゆる届出統計調査)に協力する場合

▲Top

【法の規定により遵守すべき事項等】

 ・ 医療・介護関係事業者は、
  個人情報を取り扱うに当たって、
  その利用目的をできる限り特定しなければならない。

 ・ 医療・介護関係事業者は、
  利用目的を変更する場合には、
  変更前の利用目的と相当の関連性を有する
  合理的に認められる範囲

  を超えて行ってはならない

 ・ 医療・介護関係事業者は、
  あらかじめ本人の同意を得ないで
  特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて
  個人情報を取り扱ってはならない

  なお、
  本人の同意を得るために個人情報を利用すること
  (同意を得るために
   患者・利用者の連絡先を利用して電話をかける場合など)、
  個人情報を匿名化するために
  個人情報に加工を行うこと
  は差し支えない

 ・ 個人情報を取得する時点で、
  本人の同意があったにもかかわらず、
  その後、本人から
  利用目的の一部についての同意を取り消す
  旨の申出
があった場合は、
  その後の個人情報の取扱いについては、
  本人の同意が取り消されなかった範囲に限定して取り扱う

 ・ 医療・介護関係事業者は、
  合併その他の事由により他の事業者から事業を承継すること
  に伴って個人情報を取得した場合は、
  あらかじめ本人の同意を得ないで、
  承継前における当該個人情報の利用目的
  の達成に必要な範囲を超えて、
  当該個人情報を取り扱ってはならない。

 ・ 利用目的の制限の例外法第16条第3項)に該当する場合は、
  本人の同意を得ずに個人情報を取り扱うことができる

  (利用目的を変更する場合の取扱いについてはV2.を参照)

▲Top

【その他の事項】

 ・ 利用目的の制限の例外に該当する「法令に基づく場合」
  であっても、
  利用目的以外の目的で個人情報を取り扱う場合は、
  当該法令等の趣旨をふまえ、
  その取り扱う範囲を真に必要な範囲に限定することが求められる。

 ・ 患者が未成年者等の場合、
  法定代理人等の同意を得ることで足りるが、
  一定の判断能力を有する未成年者等については、
  法定代理人等の同意にあわせて本人の同意を得る

 ・ 意識不明の患者や重度の痴呆性の高齢者などで
  法定代理人がいない場合
で、
  緊急に診療が必要な場合については、
  上記(2)Aに該当し、
  当該本人の個人情報を取り扱うことができる。

▲Top

← 戻る             |             進む →

目次に戻る

←治験ナビ・トップページ
←健康ナビ・トップページ