5.個人データの第三者提供(法第23条)

(第三者提供の制限)

法第二十三条

  個人情報取扱事業者は、
  次に掲げる場合を除くほか
  あらかじめ本人の同意を得ないで、
  個人データを第三者に提供してはならない

 一 法令に基づく場合

 二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合
    であって、
    本人の同意を得ることが困難であるとき。

 三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために
    特に必要がある場合であって、
    本人の同意を得ることが困難であるとき。

 四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が
    法令の定める事務を遂行することに対して
    協力する必要がある場合であって、
    本人の同意を得ることにより
    当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれ
があるとき。

▲Top

2 個人情報取扱事業者は、

  第三者に提供される個人データについて、
  本人の求めに応じて
  当該本人が識別される個人データの第三者への提供
  を停止すること

  としている場合であって、
  次に掲げる事項について
  あらかじめ、
  本人に通知し
、又は
  本人が容易に知り得る状態に置いているときは、
  前項の規定にかかわらず、
  当該個人データを第三者に提供することができる

 一 第三者への提供を利用目的とすること。

 二 第三者に提供される個人データの項目

 三 第三者への提供手段又は方法

 四 本人の求めに応じて
    当該本人が識別される個人データの第三者への提供
    を停止
すること。

▲Top

3 個人情報取扱事業者は、

  前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更する場合は、
  変更する内容について、
  あらかじめ、
  本人に通知し、又は
  本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

▲Top

4 次に掲げる場合において、
  当該個人データの提供を受ける者は、
  前三項の規定の適用については、
  第三者に該当しないものとする。

 一 個人情報取扱事業者が
    利用目的の達成に必要な範囲内において
    個人データの取扱いの全部又は一部を委託
する場合

 二 合併その他の事由による事業の承継に伴って
    個人データが提供
される場合

 三 個人データを特定の者との間で共同して利用する場合
    であって、

    その旨並びに
    共同して利用される個人データの項目、
    共同して利用する者の範囲、
    利用する者の利用目的及び
    当該個人データの管理について責任を有する者
    の氏名又は名称
    について、
    あらかじめ、
    本人に通知
し、又は
    本人が容易に知り得る状態に置いているとき

▲Top

5 個人情報取扱事業者は、

  前項第三号に規定する
  利用する者の利用目的又は
  個人データの管理について責任を有する者
  の氏名若しくは名称
  を変更する場合は、

  変更する内容について、
  あらかじめ、
  本人に通知し、又は
  本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

▲Top

(1)第三者提供の取扱い

 医療・介護関係事業者は、
 あらかじめ本人の同意を得ないで、
 個人データを第三者に提供してはならない
とされており、
 次のような場合には、本人の同意を得る必要がある。

(例)

 ・ 民間保険会社からの照会

   患者が民間の生命保険に加入しようとする場合、
   生命保険会社から患者の健康状態等について
   照会があった場合、
   患者の同意を得ずに
   患者の現在の健康状態や既往歴等を回答してはならない。

   交通事故によるけがの治療を行っている患者に関して、
   保険会社から
   損害保険金の支払いの審査のために必要であるとして
   症状に関する照会があった場合、
   患者の同意を得ずに患者の症状等を回答してはならない。

 ・ 職場からの照会

   職場の上司等から、
   社員の病状に関する問い合わせがあったり、
   休職中の社員の職場復帰の見込み
   に関する問い合わせがあった場合、
   患者の同意を得ずに
   患者の病状や回復の見込み等を回答してはならない。

 ・ 学校からの照会

   学校の教職員等から、
   児童・生徒の健康状態に関する問い合わせがあったり、
   休学中の児童・生徒の復学の見込み
   に関する問い合わせがあった場合、
   患者の同意を得ずに
   患者の健康状態や回復の見込み等を回答してはならない。

 ・ マーケティング等を目的とする会社等からの照会

   健康食品の販売を目的とする会社から、
   高血圧の患者の存在の有無について照会された場合や
   要件に該当する患者を紹介して欲しい旨の依頼があった場合、
   患者の同意を得ずに
   患者の有無や該当する患者の氏名・住所等
   を回答してはならない。

▲Top

(2)第三者提供の例外

 ただし、次に掲げる場合については、
 本人の同意を得る必要はない。

 @ 法令に基づく場合

   医療法に基づく立入検査、
   介護保険法に基づく不正受給者に係る市町村への通知、
   児童虐待の防止等に関する法律に基づく
   児童虐待に係る通告等、
   法令に基づいて個人情報を利用する場合であり、
   医療機関等の通常の業務で想定される主な事例は
   別表3のとおりである。(V1.(2)@参照)

 A 人の生命、身体又は財産の保護のために
   必要がある場合であって、
   本人の同意を得ることが困難であるとき

 (例)

  ・ 意識不明で身元不明の患者について、
   関係機関へ照会する場合

  ・ 意識不明の患者の病状や重度の痴呆性の高齢者の状況を
   家族等に説明する場合

  ※なお、「本人の同意を得ることが困難であるとき」には、
    本人に同意を求めても同意しない場合
    本人に同意を求める手続を経るまでもなく
    本人の同意を得ることができない場合

    等が含まれるものである。


 B 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために
   特に必要がある場合であって、
   本人の同意を得ることが困難であるとき

 (例)

  ・ 健康増進法に基づく地域がん登録事業による
   国又は地方公共団体への情報提供

  ・ がん検診の精度管理のための
   地方公共団体又は地方公共団体から委託を受けた検診機関
   に対する精密検査結果の情報提供

  ・ 児童虐待事例についての関係機関との情報交換

  ・ 医療安全の向上のため、
   院内で発生した医療事故等に関する
   国、地方公共団体又は第三者機関等への情報提供のうち、
   氏名等の情報が含まれる場合


 C 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が
   法令の定める事務を遂行することに対して
   協力する必要がある場合であって、
   本人の同意を得ることにより
   当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき

 (例)

  ・ 国等が実施する、
   統計報告調整法の規定に基づく統計報告の徴集
    (いわゆる承認統計調査)及び
   統計法第8条の規定に基づく指定統計以外の統計調査
    (いわゆる届出統計調査)
   に協力する場合

▲Top

(3)本人の同意が得られていると考えられる場合

 医療機関の受付等で診療を希望する患者は、
 傷病の回復等を目的としている。

 一方、医療機関等は、
 患者の傷病の回復等を目的として、
 より適切な医療が提供できるよう治療に取り組むとともに、
 必要に応じて他の医療機関と連携を図ったり、
 当該傷病を専門とする他の医療機関の医師等に
 指導、助言等を求める
 ことも日常的に行われる。

 また、その費用を公的医療保険に請求する場合等、
 患者の傷病の回復等そのものが目的ではないが、
 医療の提供には必要な利用目的として提供する場合もある。

 このため、
 第三者への情報の提供のうち、
 患者の傷病の回復等を含めた患者への医療の提供に必要
 であり、かつ、
 個人情報の利用目的として院内掲示等により明示されている場合
 は、
 原則として黙示による同意が得られているものと考えられる

 なお、傷病の内容によっては、
 患者の傷病の回復等を目的とした場合であっても、
 個人データを第三者提供する場合は、
 あらかじめ本人の明確な同意を得るよう求めがある場合
 も考えられ、
 その場合、医療機関等は、
 本人の意思に応じた対応を行う必要がある。

 -------------------------------------------------------

 @ 患者への医療の提供のために通常必要な範囲
   の利用目的について、
   院内掲示等で公表しておくことにより
   あらかじめ包括的な同意を得る場合

   医療機関の受付等で、
   診療を希望する患者から個人情報を取得した場合、
   それらが患者自身の医療サービスの提供のために利用される
   ことは明らかである。

   このため、
   院内掲示等により公表して、
   患者に提供する医療サービスに関する利用目的について
   患者から明示的に留保の意思表示がなければ、
   患者の黙示による同意があったものと考えられる
。(V2.参照)

   また、
   (ア)患者への医療の提供のため、
      他の医療機関等との連携を図ること

   (イ)患者への医療の提供のため、
      外部の医師等の意見・助言を求めること

   (ウ)患者への医療の提供のため、
      他の医療機関等からの照会があった場合に
      これに応じること

   (エ)患者への医療の提供に際して、
      家族等への病状の説明を行うこと

   等が利用目的として特定されている場合は、
   これらについても患者の同意があったものと考えられる

 -------------------------------------------------------

 A この場合であっても、
   黙示の同意があったと考えられる範囲は、
   患者のための医療サービスの提供に必要な利用の範囲であり、
   別表2の「患者への医療の提供に必要な利用目的」を参考に
   各医療機関等が示した利用目的に限られるものとする。

   なお、院内掲示等においては、

   (ア)患者は、
      医療機関等が示す利用目的の中で
      同意しがたいものがある場合には、
     その事項について、
     あらかじめ本人の明確な同意を得るよう
     医療機関等に求めることができること。

   (イ)患者が、(ア)の意思表示を行わない場合は、
      公表された利用目的について
      患者の同意が得られたものとすること。

   (ウ)同意及び留保は、
      その後、患者からの申出により、
      いつでも変更することが可能であること。

   をあわせて掲示するものとする。

 -------------------------------------------------------

 ※上記@の(ア)〜(エ)の具体例

 (例)
  ・ 他の医療機関宛に発行した紹介状等を本人が持参する場合

    医療機関等において
    他の医療機関等への紹介状、処方せん等を発行し、
    当該書面を本人が他の医療機関等に持参した場合、
    当該第三者提供については、
    本人の同意があったものと考えられ、
    当該書面の内容に関し、
    医療機関等との間での情報交換を行うこと
    について同意が得られたものと考えられる。

  ・ 他の医療機関等からの照会に回答する場合

    診療所Aを過去に受診したことのある患者が、
    病院Bにおいて現に受診中の場合で、
    病院Bから診療所Aに対し
    過去の診察結果等について照会があった場合、
    病院Bの担当医師等が受診中の患者から同意を得ていること
    が確認できれば、
    診療所Aは
    自らが保有する診療情報の病院Bへの提供について、
    患者の同意が得られたもの
    と考えられる。

  ・ 家族等への病状説明

    病態等について、
    本人と家族等に対し同時に説明を行う場合には、
    明示的に本人の同意を得なくても、
    その本人と同時に説明を受ける家族等
    に対する診療情報の提供について、
    本人の同意が得られたものと考えられる。

 -------------------------------------------------------

 B 医療機関等が、

   労働安全衛生法第66条、
   健康保険法第150条、
   国民健康保険法第82条又は
   老人保健法第20条により、

   事業者、保険者又は市町村が行う健康診断等を受託した場合、
   その結果である労働者等の個人データを
   委託元である当該事業者、保険者又は市町村に対して
   提供することについて、
   本人の同意が得られていると考えられる。

 -------------------------------------------------------

 C 介護関係事業者については、
   介護保険法に基づく指定基準において、
   サービス担当者会議等で利用者の個人情報を用いる場合には
   利用者の同意を、
   利用者の家族の個人情報を用いる場合には家族の同意を、
   あらかじめ文書により得ておかなければならない
   とされていることを踏まえ、
   事業所内への掲示によるのではなく、
   サービス利用開始時に
   適切に利用者から文書により同意を得ておくことが必要である。

▲Top

(4)「第三者」に該当しない場合

 @ 他の事業者等への情報提供であるが、
   「第三者」に該当しない場合

   法第23条第4項の各号に掲げる場合の
   当該個人データの提供を受ける者については、
   第三者に該当せず、
   本人の同意を得ずに情報の提供を行うことができる。

   医療・介護関係事業者における具体的事例は
   以下のとおりである。

  ・ 検査等の業務を委託する場合

  ・ 外部監査機関への情報提供
    ((財)日本医療機能評価機構が行う病院機能評価等)

  ・ 個人データを特定の者との間で共同して利用するとして、
   あらかじめ本人に通知等している場合

   ※個人データの共同での利用における留意事項
     病院と訪問看護ステーションが
     共同で医療サービスを提供している場合など、
     あらかじめ
     個人データを特定の者との間で共同して利用すること
     が予定されている場合、

    (ア)共同して利用される個人データの項目、

    (イ)共同利用者の範囲
       (個別列挙されているか、
        本人から見てその範囲が明確となるように
        特定されている必要がある)、

    (ウ)利用する者の利用目的、

    (エ)当該個人データの管理について
       責任を有する者の氏名又は名称、
       をあらかじめ本人に通知し、又は
       本人が容易に知り得る状態においておくとともに、
       共同して利用することを明らかにしている場合には、
       当該共同利用者は第三者に該当しない。

       この場合、
       (ア)、(イ)については変更することができず、
       (ウ)、(エ)については、
       本人が想定することが困難でない範囲内で
       変更することができ、
       変更する場合は、
       本人に通知又は本人の容易に知り得る状態
       におかなければならない。

 -------------------------------------------------------

 A 同一事業者内における情報提供であり、
   第三者に該当しない場合

   同一事業者内で情報提供する場合は、
   当該個人データを第三者に提供したことにはならないので、
   本人の同意を得ずに情報の提供を行うことができる

   医療・介護関係事業者における具体的事例
   は以下のとおりである。

   ・ 病院内の他の診療科との連携など
    当該医療・介護関係事業者内部における情報の交換

   ・ 同一事業者が開設する複数の施設間における情報の交換

   ・ 当該事業者の職員を対象とした研修での利用
    (特定し、公表した利用目的との関係で、
     目的外利用として所要の措置を行う必要があり得る)

   ・ 当該事業者内で経営分析を行うための情報の交換

   このうち、
   医療・介護関係事業者内部の研修で
   診療録や介護関係記録等を利用する場合
には、
   具体的な利用方法を含め、
   あらためて本人の同意を得るか、
   個人が特定されないよう匿名化
する。

▲Top

(5)その他留意事項

 ・ 他の事業者への情報提供に関する留意事項

  第三者提供を行う場合のほか、
  他の事業者への情報提供であっても、

  @法令に基づく場合など第三者提供の例外に該当する場合、
  A「第三者」に該当しない場合、
  B個人が特定されないように匿名化して情報提供する場合

  などにおいては、
  本来必要とされる情報の範囲に限って提供すべきであり、
  情報提供する上で必要とされていない事項についてまで
  他の事業者に提供することがないようにすべきである。

  特に、
  医療事故等に関する情報提供に当たっては、
  患者・利用者及び家族等の意思を踏まえ、
  報告において氏名等が必要とされる場合を除き
  匿名化U2.参照)を行う。

  また、
  医療事故発生直後にマスコミへの公表を行う場合
  については、
  匿名化する場合であっても
  本人又は家族等の同意を得るよう努める
ものとする。

(適切ではない例)

 ・ 医師及び薬剤師が
  製薬企業のMR(医薬品情報担当者)、
  医薬品卸業者のMS(医薬品販売担当者)
  等との間で
  医薬品の投薬効果などについて
  情報交換を行う場合
に、
  必要でない氏名等の情報を削除せずに提供すること。

 -------------------------------------------------------

【法の規定により遵守すべき事項等】

 ・ 医療・介護関係事業者においては、
  あらかじめ本人の同意を得ないで、
  個人データを第三者に提供してはならない

  なお、
  (2)の本人の同意を得る必要がない場合に該当する場合には、
  本人の同意を得る必要はない。

 ・ 個人データの第三者提供について
  本人の同意があった場合で、
  その後、本人から
  第三者提供の範囲の一部についての同意を取り消す旨
  の申出
があった場合は、
  その後の個人データの取扱いについては、
  本人の同意のあった範囲に限定して取り扱うものとする。

 -------------------------------------------------------

【その他の事項】

 ・ 第三者提供に該当しない情報提供が行われる場合であっても
  院内や事業所内等への掲示、ホームページ等により
  情報提供先をできるだけ明らかにするとともに、
  患者・利用者等からの問い合わせがあった場合に
  回答できる体制

  を確保する。

 ・ 例えば、業務委託の場合、
  当該医療・介護関係事業者において

  委託している業務の内容
  委託先事業者
  委託先事業者との間での個人情報の取扱い
  に関する取り決めの内容


  について公開することが考えられる。

▲Top

← 戻る             |             進む →

目次に戻る

←治験ナビ・トップページ
←健康ナビ・トップページ