治験トークショー
日時:2003年12月26日 21:20〜21:35
治験体験映画「サル」上映前
場所:テアトル新宿
出演:葉山陽一郎 (治験体験映画「サル」の監督)
西塔京四郎 (治験ナビゲーター、治験ナビ管理人)
細谷隆広 (アルゴピクチャーズ)(司会)
司会:
本日は「サル」のトークショーに来て頂きまして
ありがとうございます。
今回の映画について
治験にまつわる関係者の方々に来て頂いています。
あと、本日の案内にも書いてあるように、
現役治験体験者の方が来られる予定でしたが、
何かまずい状況が起きたらしく、
今日のトークライブに出ることができないという連絡がありました。
非常にやばい状況のようで、
治験体験者の彼に私どももいつ会えるのか分からない
というちょっと不安な事態になってしまいました。
従いまして本日は彼抜きで進めたいと思います。
実は監督も治験の体験者でもあり、
自分の体験を元に映画化しておられます。
監督の葉山陽一郎さんどうぞ!
(拍手)
(監督登場)
あと本日のメインゲストである、
治験ナビゲーターの西塔さん、どうぞ。
(拍手)
(西塔京四郎登場)
上映前にちょっとお時間を頂きまして、
治験について興味ある謎の部分と危険な話、
面白そうな話を聞かせてもらえばと思います。
まず、
監督が治験を体験されたのは?
監督:
もう10年位前になることなんですけど、
自主映画で16ミリを作っていまして
フィルム代を稼ぐ為に
肉体労働などのバイトをやっていたんですけど
金になってもっと儲かるバイトは無いのかと探していたら
友人が治験というバイトがあるよと紹介してくれて
それでやり始めた。
そんな感じです。
司会:
その面白い体験が元になって「サル」を作った訳ですね。
監督:
はい、そうです。
司会:
西塔さんは、治験ナビゲーターということで、
先日、トークイベントということで、ロフトプラス・ワンで
治験体験者の方々が出演した時にも
その時にちょっと来ていただいたんですけれども。
えー、みなさん、
今回のパンフレットにもその時の解説が載っているので
是非ご覧下さい。
西塔さんは、
治験ナビゲーターということで
治験のウェブサイトを開設していうことですが。。。
西塔京四郎:
そうですね〜、治験のサイトなんですが、
今回の映画で扱っている
第1相試験、つまり健康な人向けの治験ではないんですね。
第2相、第3相という
患者に対して(開発中の)薬剤を投与する、
患者向けの治験についての情報を扱っています。
司会:
と言いますと、
本作は第1相という、
一般の人向けの治験の体験者の映画なんですが、
こちらの方が第2相、3相に比べて
危険度が高い試験ということなのでしょうか?
西塔京四郎:
考え方にもよると思います。
まず第1相試験はですね、
初めて人体に(開発中の薬剤が)投与されるということがあって、
それまでサルやモルモットなどに投与して問題なかったけど、
じゃあ実際に人に投与したらどうなるの?
ということを調べる試験なんです。
そこでは、もしかしたら
人に限って起こる副作用というのがあるかもしれない。
その意味で第1相には危険があるんですね。
一方、第2相、第3相をする段階では、
第1相で健康な人が投与されて問題なかったと言う意味では
「安全性」は既に確認されています。
しかし、今度は実際に病気を持っている人に投与されるので、
病気を持っている人特有の副作用が出るかもしれない。
そういう問題があるんです。
ですから、どちらの治験が危険なのかと言えば、
どちらにも危険はあると言えます。
司会:
監督は若い時、治験のアルバイトをされたそうですが、
何回ほど体験されたんですか?
監督:
4回ぐらいやったんですが、
その中でアレルギーの薬の治験の時は副作用が出てしまって、
肝臓の数値が高くなって途中で退院せざるをえなかったんです。
あとの治験では、肝臓の薬の時などでは、
それほどの副作用が出たことは無かったですね。
司会:
生死をさまようというような危ない副作用は
なかったということですが、
治験で危険な目にあったという人の噂は、
聞いたことはありますか?
監督:
そうですね。
今回の映画でもあるように、
副作用が出たという話は時々聞きました。
それから、
治験をやっていて途中で人がいなくなっちゃうんですね。
夜まではいたけど、翌朝になるといない。
司会:
そこが謎というか、普通のバイトと違うところですね。
バイトをやっているうち、
一緒にやっている人間が一晩で朝になったらいなくなっている
なんてことはないですよね。
監督:
大抵は風邪だということで
「皆さんにうつらないように、退院してもらいました」
と病院の方から説明を受けましたが。。。
司会:
それが本当かどうかは分からないということなんですよね。
ただの風邪でいなくなったのか、
もっと別の原因でいなくなったのか?
こういうミステリーな要素が
この映画にちりばめられているんですね。
西塔さん、これからご覧になられる映画「サル」は、
アルツハイマーの新薬の治験の映画なんですが
アルツハイマーというのは
製薬企業にとって重要な分野なんですか?
西塔京四郎:
これから日本や欧米はますます高齢化社会になっていきます。
アルツハイマーの患者も当然増えて行く。
それが大きな社会問題になりつつあります。
例えば、日本の製薬会社のE社が開発した
アルツハイマー治療薬は世界中で売れていますし、
アメリカなどでも国策として、
いかに医療費を削減するかという観点から、
アルツハイマー治療に力を入れているという現実があります。
ですから、(アルツハイマーの治験は)
まさにタイムリーな話題だと言えるでしょうね。
司会:
「ピカ新」という言葉があるようですが。
西塔京四郎:
「ピカ新」という言葉は、
映画の中にも出てくる言葉なんですが、
ピカピカの新薬を略して「ピカ新」と言うんですね。
今までに無い画期的な効果を持った薬を「ピカ新」と呼んでいて
そういう薬を開発できると製薬企業としては非常に儲かるんです。
だから、そういう薬の開発ほど製薬企業は力を入れる訳です。
ですから、そういう可能性のある化合物を発見した場合、
早く売り出したいがために、
多少の副作用があることが事前に分かっていても、
無理してでも治験を実施しちゃおう。
治験で多少の副作用が出ても隠しちゃおう
ということが起こる可能性はあるかもしれません。
司会:
今まで可能性としてそういう例はあるのですか?
そういう新薬の開発で副作用が隠されるというのは?
話していいこととまずいこともあるでしょうが。
話せる範囲でいいですから?
西塔京四郎:
私自身、内部情報は人づてでしか入手できないので、
なかなかその手の情報は入って来ない。
お話できないのが残念ですが。。。
そう言えば、昨年、イレッサという肺ガンの新薬で、
発売後に副作用による死亡例が数多く発生して、
大きな社会問題になりました。
さらにイレッサを開発した製薬企業が、
治験中に副作用があった事実を一部隠していた
という記事が新聞に出ていました。
そういう事実が(承認後に)後から分かってくる。
こういうことは、おそらく氷山の一角ではないかと思います。
司会:
治験のギャランティーというのはどれ位なものなんですか?
時給というか、日給と言うか。
監督:
僕の体験では1泊2日で、2万円ぐらいでした。
西塔京四郎:
インターネットの2ちゃんねるに、
第1相試験のスレッドがいくつか立っていまして、
そこらへんについてもよく書かれているんですが、
傾向として、相場は1泊2万円ぐらいのようです。
ですから、
昔と余り代わっていないみたいですね。
司会:
危険度の高い薬だとその分ギャランティーが上がる
ということはあるんですか?
西塔京四郎:
危険度が高い薬というよりですね、
それより一日何回採血されるか、
検査されるか、
その際に受ける苦痛の程度などによって
金額は決まってくるようです。
司会:
これから治験の映画を見て頂く訳ですが、
注意事項とかありましたら、是非。
いいバイトですからお薦めしたいとか。
西塔京四郎:
基本的には(健康な人の治験参加は)お薦めしないです。
なぜかと言いますと、
万が一、副作用が原因と思われる健康被害が出て、
後遺症が残ったりしたとき、
それが本当に薬によるものなのかどうなのか、
ということによって
製薬企業が補償してくれるかどうか、
または補償してくれる金額が変わってきます。
万が一副作用と思われるような症状が自分の身に起きた時、
製薬企業から、
それは副作用じゃないよ、
もともとあなたの病気ですよ
と言われてしまった場合には、
補償が受けられない可能性がある。
そういう危険性も考えて、
(治験に)参加するべきでしょう。
それでも手っ取り早くお金を稼ぎたいという方は、
無理には止めはしませんが。。。
また、全ての薬について言えることなんですが、
薬を服用した場合、
長期的に人体にどういう影響があるか
ということについては実は余りよく分かっていない。
ですから5年後に体に変調が起きた時、
それが治験に参加した結果なのか?
という場合に因果関係を証明することは非常に難しい。
タバコを吸いすぎたことによる影響なのか?
お酒を飲みすぎた影響なのか?
そういう話にもなってきますから。
自分の体を健康を本当に真剣に考えるのなら、
安易に参加するのはやめておいた方がいいでしょうね。
司会:
若いときの過ちというか、
年取った時にそういう体になってしまったら、危険ですね。
監督:
私も、そこまで危険だとは知りませんでした。
西塔京四郎:
いえ、実は、「危険」というのは確率的な問題であって、
「全ての人にとって危険」という訳ではないんです。
薬の性質というのは面白いもので、
全ての人に同じ効果が出る訳ではないんです。
Aさんには副作用出たけどBさんには副作用は出ない。
そういうことがありますから、
その人の体質とか遺伝子によって、
副作用が出るかどうかが異なるんです。
司会:
賭けですね?
西塔京四郎:
賭けです。
あと、これから人の遺伝子についての研究が進んでいくと、
この遺伝子を持っている人はこういう薬に対しては
どういう副作用が出るかも分かるようになって行きます。
そういうことが分かるようになると、
(被験者を募集するなどして)治験を実施する際に、
事前に、遺伝子検査をすることによって、
「あなたは副作用が出る可能性が高いので、
この治験には参加できません。」
と言えるようになります。
ですから、将来的には、治験はより安全になっていくでしょう。
司会:
どうもありがとうございました。
運営されている治験のWEBサイトの宣伝はありますか?
西塔京四郎:
実は、健康な方向けの治験情報は余り掲載していないんです。
もともと患者向けの治験の情報を掲載する為に
作ったサイトだったので。
ただ、私の意図に反して、
健康な人向けの治験への問合せが余りに多かったので、
どんな施設で募集しているかという情報程度は
掲載することにしました。
ちょっと面白かったのですが、
2ちゃんねるに第1相の治験についてのスレッドが
たくさん立っていたので、
それをリンク集としてまとめてみました。
この映画を見て、
第1相試験についてもっと知りたいな〜という方は、
スレッドの中を見て頂ければ面白いと思います。
かなり怪しい内容になっていまして、
場合によっては
やっぱり治験に参加するのはやめておこう
と思い直す人もいるかもしれませんが。。。
とにかくいろいろと面白いことが書いてありました。
司会:
本日の映画「サル」を見て、
治験に興味を持ったり、危ないなと思われる方も
いると思いますが、
今日は是非楽しんで頂ければとは思います。
ねえ、監督!
監督:
そうですね。
司会:
それでは長い間、本当にありがとうございました。
(拍手)
(退場)
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【あとがき】
西塔京四郎 (2004年1月21日)
なんか、私ばっかりしゃべっていたようです。
監督、申し訳ありません。
あと、私が治験の危険性を誇張し過ぎているようにも、
受け取られたかもしれません。
まあ、治験映画の「恐怖」を煽る為の演出だと思ってください。
ただ、
治験は絶対に安全だ
ということはありえません。
わずかでも危険性は残ります。
だからといって、
必要以上に恐がる必要もありません。
でも、万が一何かあったら、結局あきらめるしかない。
副作用のリスクと、得られるメリット(金銭)をじっくり検討して、
自己責任の下に治験に参加して下さいね
ということを言いたかっただけなのです。
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治験体験映画サル特集の過去ログは
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<第1相試験FAQ>
1.第1相試験とは?
2.健常人とは?
3.臨床薬理試験とは?
4.第1相試験で健康な成人を用いるのはなぜか?
5.第1相試験の対象が男性だけなのはなぜか?
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