<日本のCRFの特徴>

デザインの美しさ 
情報の質
電子化の容易性 
今後の方向性 
新しいCRF技術 


■デザインの美しさ

日本のCRFは罫線で綺麗に区切られ、
レイアウトにも非常に気を使ったデザインであり、
1ページに多くの記入項目をびっしり詰め込んでいます。
その為、ページ枚数は海外のCRFに比べてずっと少ない
という特徴があります。
デザイン的には、
かなり洗練されているともいえるでしょう。

それに比べて、
海外のCRFのデザインのシンプルなことと言ったら、
一見すると手抜きでは無いかと思える程で、
1ぺージあたりの記入項目の数は少なく、その為、
ページ枚数が日本のCRFの何倍にも膨れ上がります。

分厚く、粗雑なデザインのCRFは
治験の担当医師に嫌われるのではないか?

という考えから、日本人の細かく几帳面な性格に合った、
現在のようなCRFデザインになったのだ
と言われています。

実際、症例報告書案の作成段階で、
海外のCRFをそのまま日本語訳して、
日本の臨床試験の責任医師に渡したら、
「何だこの症例報告書は?」
と怒られたという逸話があります。

日本の症例報告書のデザインは、
医師の記入のしやすさ、扱い易さ
を第一に作られているのです。
(私には、日本の症例報告書のデザインが
 記入しやすいとは、とうてい思えないのですが。。。)

データ処理のしやすさを優先するという、
海外の合理的な発想は、残念ながらここにはありません。

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■情報の質

海外のCRFは、
チェック方式やマークシート方式が主流であるのに対して、
日本のCRFは、記入欄が多く、
医師の主観的判断やコメントが記載されることを
前提とした作りになっています。

一見すると、日本のCRFの方が
質データ(文章で表記されたデータ)が豊富であり、
得られたデータの総合的な情報量が高まることから、
治験においては好ましい様式のように思えます。

しかし、実際には、
質データはそのままでは統計処理できない為、
それをそのままでは活用できない
という欠点があります。

つまり、客観性が無いので統計処理できず、
統計解析の結果を重視する、治験の評価においては
使えないデータとなってしまう場合がかなりあるのです。

また、それを解析に使用する為に、
マンパワーによってカテゴリーデータ化する場合もあり、
その作業は判断に困難を伴い、
その結果得られた加工データも
作業者の主観がどうしても入るため
不正確なものとなってしまいます。

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■電子化の容易性

海外のCRFでは、
医師が余計な記述をすることが少ないように
設計されているので、
記載されたデータを入力するのは非常に楽です。
枚数は多くても、
選択された番号あるいはチェックボックスを
入力するだけなので、
ただの単純な入力作業で済みます。

一方、日本のCRFは、
医師が、親切心から、いろいろと余計な記述をする為、
また、CRFもそれを許すようなデザインになっている為、
コメント欄や欄外などに多くの自由な記述がされます。

それを電子化する為に、
製薬メーカーやCROの電子化担当者は
莫大かつ不毛な時間を費やすことになります。

それらの余計な記述は、大抵、意味の無いデータであり、
入力しなければ済むことなのですが、
もしかしたら後で使うかも知れないという心配から、
CRFに記載された全ての記述を電子化しよう
とする傾向があります。

もちろん、カテゴライズしない場合は、
記載文面をそのまま入力することもあります。

それでも、医師の、ミミズののたくったような、
悪筆で、草書体のような、
読みにくい記述を解読していくのには、
どんな慣れた作業者であっても、
拷問以外の何物でもありません。

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■今後の方向性

CRFに記述されたデータを解析する際のことを考えれば、
医師が記入すると予想されるような内容は
CRFの設計段階で、あらかじめ、
カテゴリー項目またはチェック項目として作成しておき、
主観の入らないようにしておくべきだと言えるでしょう。

海外のCRFは、医師の主観が入らないように、
非常に単純化された様式であり、
日本のCRFに慣れた医師には
多少、物足りないかもしれません。

しかし、今後は、
ブリッジングスタディや海外との共同臨床試験が
増えていく傾向にあり、
海外のCRF様式に準じたシンプルなCRFが
国内で使われることが増えていくと思われます。

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■新しいCRF技術

また、最近は WEB-CRF の試みが
日本でも始まっています。
医師または、CRCがインターネットを通じて、
WEBの画面から臨床試験のデータを入力していく
という仕組みです。

インターネットというインフラが整ってきた、
今だからこそ容易に実現できるようになりました。

この場合、必要なデータ項目は、
全てデータベース項目としてデザインされていて、
それ以外は入力できないようになっているので、
余計なデータが入力される余地は殆どありません。

入力されたデータは、そのままサーバーに送られ、
値(範囲)チェック、論理チェックのプログラムによって、
不正なデータはその場でチェックされます。

これまでのように、モニターが持ち帰って、
それを入力しチェックプログラムにかけて、
時には、人が目視でチェックして、
不正なデータがあれば、モニターが施設に行って、
医師に確認し、修正を求める。
( 以降、問題が無くなるまで繰り返し)

という気の遠くなるようなチェック作業工程が
無くなるのです。

また、入力作業自体も
施設側(医師あるいはCRC)でされるため、
施設側の作業は増えるかも知れませんが、
その後の工程が自動化されるというメリットがあります。

WEB-CRFは、海外では普及しており、
臨床試験の迅速化の為には、不可欠な技術です。
外資製薬メーカーを中心に、
日本でも広がりつつあります。

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