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DTC広告には、向いている製品と向いていない製品があると言われています。

これを見誤ると、広告費の単なる浪費となるので、製薬企業の広告担当者は注意が必要です。

 
 

一般的に、DTC広告に向いている製品(医薬品)と言われる製品としては、次の4つが挙げられます。

(※特に、ブランド名告知が可能な欧米の場合)

特許期間が最低4年以上残っている製品など。

製品寿命が残り少なければ、売り上げを期待できる残りの期間が短いため、莫大な費用をかけてDTC広告をうっても、広告費を回収できない。

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慢性疾患であれば治療が長期になるので、
それだけ製品の売り上げが期待でき、莫大なDTC広告費を回収しやすい。

万一、深刻な副作用が発生すれば、ブランド名及び企業名が認知されている分だけ、悪いイメージも人々の心に刻まれることを意味する。

ブランドイメージの低下、企業イメージの低下は、同社の他製品の売り上げにも影響する。

自覚症状が判断しにくければ、患者は医療機関に行きません。
米国におけるDTC広告事情
 
 
日本のように、ブランド名の告知が禁止されている環境においては、上記の4つの製品タイプに加え、DTCに向いている製品の条件がいくつか存在します。

潜在患者(未受診患者)が大勢いる疾患であれば、DTC広告に反応して来院する患者も多いと予想されます。

市場のないところに広告をうっても意味がありません。

実際、多くの疾患において、「罹病を自覚していない」「深刻さを理解していない」ことから、医療機関で治療を受けていない潜在患者が大勢います。

大勢の潜在患者(未受信患者)に対して、DTC広告という手段で疾患情報を流すこと(疾患啓発、疾患啓蒙)により、自分の罹病を自覚させ、受診を促す。

まず、市場自体を広げるのです。

これを、マーケティング用語で、「潜在患者の掘り起こし」と言います。。

→ 疾患啓蒙広告

DTC広告によって患者を来院させることができれば、当該カテゴリーの医薬品市場を拡大することができ、その中のある一定シェアを持つ自社製品の売り上げもアップすることが期待できます。

日本におけるDTC広告事情
 
 

DTC広告で、疾患情報(医療情報)を流したとしても、患者(潜在患者)の行動変容、つまり、受診という行動につながるかどうかの度合い(レスポンス度)は、疾患の種類によって異なります。

命にさほど影響の少ない疾患の場合や、既に市販されている大衆薬が豊富にある場合などは、医療情報へのレスポンス度は小さいと考えられます。

余程、画期的な特徴(薬効・機能)を持たない限り、医療機関への受診にまでは、なかなかつながりません。

潜在患者がそれなりに存在しても、なかなか受診につながらないような疾患の場合、DTC広告は無謀とまでは言いませんが、広告手法等、かなり苦労するはずです。

日本におけるDTC広告事情
 
 

潜在患者を掘り起こしたとしても、来院した医療機関で自社より上位のライバル製品を処方されてしまっては、全く意味がありません。

せいぜい、カテゴリー2位でなければ、ライバル企業のために広告をうっているようなものです。

ブランド名を広告で告知できない代わりに、
受診行動促進」を目指すのが、日本のDTC広告の主流ですが、後発参入の製薬企業にとっては泣き所です。

なお、ブランド名を告知できない代わりに、
疾患名と企業名の組み合わせを認知してもらう、という発想もあります。

もっとも、これは広告手法の問題になりますが、非常にインパクトの強い広告であれば、疾患名から企業名の連想の度合いは強くなるでしょう。

日本におけるDTC広告事情
 
 

薬価の安い製品に莫大な広告費をかけても、余程、患者数、処方数が多くなければ、売り上げは期待できません。

広告費用をかけても、それだけの採算が取れる製品であることが重要です。

● 薬価

● 患者数

● 処方数

これら3要素で医薬品の売り上げは決定されます。

具体的には、抗アレルギー剤、抗潰瘍剤、育毛促進剤、禁煙薬、水虫治療薬、頻尿・失禁コントロール剤、喘息コントロール剤などが多いようです。
日本におけるDTC広告事情
 
 
DTC広告インデックス
1.DTC広告
2.DTC広告の規制
3.米国におけるDTC広告事情
4.日本におけるDTC広告事情
5.DTCの向き不向き
6.DTC広告のメリット
7.DTC広告のデメリット
 
 
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